ADHDの三つのおもな症状
注意力散漫: ADHDの子供は,細部の重要でない事柄をふるい落として,一つの事柄に意識を集中することができません。そのため,関係のない光景や音や匂いによってすぐに気を散らされてしまいます。 注意を払ってはいるのですが,自分を取り巻くものの中で特に注意を引くものがありません。どれにまず意識を集中したらよいかが見極められないのです。
衝動的行動: ADHD児は考えるより先に行動し,その結果がどうなるかを考えません。計画性や判断力に乏しく,危険な行動をする時もあります。「道路に飛び出したり,何かのへりに飛び乗ったり,木にかけ登ったりする。そのために,余計な切り傷や打ち身やすり傷を負って,医者のところへ行くことになる」と,ポール・ウェンダー博士は書いています。
多動: 多動な子供はいつもそわそわしています。じっと座っていることができません。ゴードン・サフォンタイン博士は自著「隠れた障害」の中で,「注意深く観察すると,年齢が進んでも,脚部,足,腕,手,唇,舌などを何らかの仕方で絶えず動かしている」と書いています。
しかし,注意力が散漫で衝動的であっても,多動でない子供もいます。その場合は,単に注意欠陥障害(Attention Deficit Disorder)あるいはADDと呼ばれることもあります。ADDは「多動を全く伴わないこともあれば,他から見てほとんど分からないようなものから,やや煩わしいものや高度の障害となるものまで,何らかの程度の多動を伴うこともある」と,ロナルド・ゴールドバーグ博士は説明しています。