インナーペアレントとの別れ
一般的に言って、親の子供への愛は生涯続くとはいえ、実際は子育てが終わ
れば、親としての大半の仕事は終わります。動物を見ても、彼らは子育てをし
ている時は自分を危険にさらしても、必死に世話をしてゆきます。一日に何度
も何度も餌をひなに運びます。敵が近づくと、自分が巣から飛び出して、敵の
目をそちらに引きつけようとさえします。しかし、時が来ると、自分の子供を
独り立ちさせるために、いわば邪険に子たちを巣から追い出します。巣から出
なければ子供たちは独立できないし、親たちも次の世代を育てるための仕事が
できません。
人間の場合も基本は同じでしょう。親は小さな命を独立して生きさせるため
にある装置なのではないでしょうか。「それゆえ、男は父と母を離れて自分の
妻に堅く付き、ふたりは一体となるのである」 一般的にいえ
ば、子供は親から離れた後、親の感情的、経済的支えをいつまでもしなければ
ならないわけではないでしょう。