不完全な人間はなぜ怒りや恨みを抱きやすいか
今、「怒りの感情」を取り上げるのはなぜでしょうか。それは、機能不全の
家庭では長い間、怒りの感じ方や表し方に関して不適切なモデルを見てきたた
めに、怒りの感情に関して極端な態度を学習してしまっているからです。
例えば、人からさんざん踏みつけにされているのに、怒りを感じることなく
言いなりになってしまう場合がありませんか。そうかと思うと一方では、相手
が何か一つの点を主張しているだけなのに、それを自分に対する全面的な攻撃
だと感じて、あわてて自分を守ろうとして、その相手を無視したり、怒りをぶ
ちまけてしまいます。
こんな時穏やかに「それは違うと思うよ」とか「自分はそれにはついていけ
ないよ」とか、一言いえばいいのに、それが言えないために、相手をいつまで
も恨んで根に持ち、色々の場面で相手に抵抗をしたり、意地悪く振る舞って、
言いたいことを暗に伝えようとすることなどよくあることではありませんか。
自分を主張することは養育的でない親の前ではとても難しいことでした。そ
のような家庭では、あらゆる感情、とりわけ怒りを感じることは危険ですら
あったので、怒りの感情すべてを抑圧して否認して来たことがよくありまし
た。こうした人が回復に向かうには、どうしても一度は否認している感情を認
めて表現していくことが大切です。怒りを含めて様々の感情をゆるめて、感じ
るようにしていかないと回復には向かえません。
恨みは、怒りが正しく扱われなかったために生じてくる思考の型であって、
単なる感情ではありません。もし、怒りが正しく扱われていれば、誰かや、何
かの組織を恨むことはなかったでしょう。それで、怒りが恨みの形に凝り固
まってしまわないうちに、怒りを感じ、それをふさわしく表現し、恨みが自分
の思考の一部にならないようにしましょう。
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