無力感はなぜ身に付いてしまうのか、しかし回復は可能
アメリカの心理学者セーリックマンは犬の実験を行って、不快な刺激を受け
続け自分でそれを回避することが出来ない(変化させられない)状況が続く
と、次の三つのマイナスの効果が表れることを発見しました。
①環境に能動的に反応しようとする意欲が低下する
②学習する能力が低下する
③情緒的征混乱が起こる
ところで、回避できないショックにさらされて無力になった犬に、もう一
度、効力感を持たせることは出来るでしょうか。無力になった犬は自分から
は、あらためて学習しようとしません。それで、無理矢理強制して、ショック
を回避できること(つまり、選べること)を教えて込んでやると再び力を得
て、ショックを自分から避けるようになります。また、一度自分でショックは
避けうるものだということを学んだものは、避けられないショックを受けて
も、悪影響を受けません。
傷ついたインナーチャイルドにとって嗜癖的に生活することは日常生活の一
部になってきました。①自己の評価が低いので完璧に物事をやりこなそうとし
たり、過度に責任を負ってきました。②見捨てられるのが不安で、さまざまの
方法で他の人をコントロールすることによって安心感を得ようとしました。③
自分の感情を凍らせて隠し、他の人に近づかないように孤立してきました。④
権威を持つ人が恐いので身を隠そうとしたり、そうした人からの承認を得よう
として自分の感情を挿し殺してもご機嫌を取ってきました。⑤他人との間で自
分が果たすべき限界が分からないので、世話を焼きすぎてきました。しかし、
この嗜癖的な考え方や行動は、自分に益をもたらさず、他の人をかえって自分
から遠ざける結果になってきました。無力感は増すばかりです。
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では犬に効力感を与えることが出来たのであれば、人間の場合はどうでしょ
うか。ある行動をすればよいのにできない時、例えば過食やアルコール嗜癖の
ように、ある行動を止めたいのに止められないという時(自分が選択できない
と感じる時)に無力感が出やすいのです。これらの人が効力感を得るために
は、自分で変化させることができたと思える経験を持つことが大切です。誰か
が助けを与えて強制してでも、違った行動があることを知らせて、それを選ぶ
実演をし、次に簡単な場面で練習し、小さな成功を得ることを覚える時、自分
を変えることができた体験がその人に自尊心を与えるのです