苦悩を含めて自分の人生は自分だけが担える
精神学者ビクトール・フランクルは、「未来を失うと共に人はそのよりどころを失い、内的に崩壊し、
身体的にも心理的にも崩壊してしまう」と言います。また「人生にあと何が期
待できるものとして残っているのか」という問いではなく、「人生は自分に何
を期待しているのか」と問い続けること、これが生きる力を与えてくれると語
ります。そして、その生きる意味は、その問われる状況の一回性と唯一性とに
よって特徴づけられており、その具体的な状況が、あたかも運命のように自分
に要求する苦悩を、他のだれでもなく、自分が担わなければならないのです。
だれもその苦悩を代わって苦しみ抜くことは出来ません。待っている仕事、
待っている愛する人、その人がある限り、自分はまだ生き続けなければならな
いのです
フランクルは絶望しがちな仲間の囚人たちに次のように語りました。「われ
われが戦いに勝つ見込みがないと言うことは、戦いの意味や尊厳を少しも損な
うものではない。この困難な時と、また近づきつつある最後の時に、われわれ
各自を求めるまなざしで見下ろしているのだ…一人の友、一人の妻、一人の生
者、一人の死者…そして一人の神が。そして、その者はわれわれが彼を失望さ
せないことを期待し、われわれがみじめに苦しんでいるのでなく、誇らしげに
苦しみ死ぬことを知っていることを期待しているのだ。…そして、犠牲はそれ
がこの世では何の意味も持たないように見えたとしても、何かの意味を持って
いるのだ」。
あなたは、世界でたった一人しかいないあなたなのですから、あなたの人生
のストーリーの証人にならなければなりません。苦悩を含めてあなたの人生を
おわりまで見つめてあげてください。
自分は「決して良くならない、落ちこぼれだ」というような敗北的なレッテ
ルを貼らないようにしましょう。レッテルを貼るとそれ自身が自分をみじめに
し、わたしたちから力を奪います。だから抵抗しなければなりません。自分が無価値だと思わせ
る考えに抵抗して、生きてゆくことは辛いでしょう。また先が見えないので勝
ち目がなく思えることがあるけれど、誰も一足先のことは分からないのです。
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