気づきの出現
わたしたちの何かが違っていたという感覚は様々の方法で訪れます。回復を
始めた友人や家族の話を聞いたとき、病院で医師やカウンセラーから知らされ
たとき、本屋で見つけた解説書や体験談を読んだりしたときに始まります。こ
の時期にさしかかっている人とお話ししていると、「わたしは自分が分かりま
せん」とか「自分がないんです」「わたしは嘘を生きているんです」という言
葉をよく聞きます。本人がこういうことが自覚された時はとても苦しんでいる
時です。ですから自分が何か他の人とは違っている、自分は何かおかしいと気
づくこと、それは回復の一歩なのです。
しかし、わたしたちは気づきを無視したい欲求に駆られたり、「自分にはそ
れほどの問題がない」と決めつけたり、かえってアルコールなどの嗜癖行動が
強まるかも知れません。これは不健全な自我防衛の働きによります。わたした
ちはこうした障害を乗り越えて真の自己、リアルな「内なる子供」に接触でき
るでしょうか。それは困難な旅の始まりかも知れませんが、勇気を出してくだ
さい。報いは大きいのです。